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2010年10月

2010年10月31日 (日)

「それぞれの想い」②

 警備の休みの日、足取りも重く父の書いた手紙をもって道場にやってきた。
 ここは元同盟国、宝国(ほうこく)の亡命者が館長をしているので出入りする人は元宝国の国民が多い。
 元というのはもう国がなくなってしまったからだ。
 十六年前の戦争で滅んでしまっていた。綬宝の住む国、彩国(さいこく)も協力したが、結局は軍事国家、岳国(がくこく)に滅ぼされてしまった。既に国王も戦争で亡くなり王族はいないと綬宝は聞かされていた。
 彩国と岳国は同等の国力を有していたが、宝国はその三分の一程度の国力しかなかった。そのうえ、彩国と岳国の間に挟まるように宝国があり、鉄鋼 石や宝石の産出量が豊富だったことから、常に両国の脅威にさらされてきた。今は、人も住まない政治的空白地帯となっている。彩国も下手に宝国の再興を支援 しようものならまた戦争になると手が出せないでいる。
 戦争後、難民となった宝国の生き残りわずかに数百人を、彩国は受け入れて街を作るのを許可した。結果、宝国の国民たちは宝国街と呼ばれる一画を作り、元国民の結束を守りつつも彩国になじんで生活している。
「おまえが来る事などわしはすでに知っておったわい。待ちくたびれたぞ」
(ウソ臭すぎる。父さんの手紙を読んでから言うなよ)
「よろしくお願いします」
「うむ。おぬしは宝国街に小さなころから出入りしているから知った顔もおろう。」
 疑いを持ちながらもこの八十はいっている角老という名の爺さんに挨拶をすませ道場に入った。道場には大人から子供までが武術の稽古に励んでおり、綬宝が道場の中に入った時にそれを気づいた大人たちが何やらザワザワとし初めた。
「おい、綬宝様だぞ」
「なんであの方がここにいるんだ?」
「騒ぐでない! 稽古をつづけよ」
館長は構わず練習を続けさせた。奥の部屋へと通されたが、暗くはないものの、空気が重いような感覚で何とも不気味だ。部屋の中心には大きな水晶が置かれており、壁には色々な鎧や武器などが並んでいる。
「大きな水晶ですね。人の頭くらいありますけど。これって法力の訓練に使うものですか?」
「ああそうだ。小さな水晶では、法力で割れてしまうことがあるからな」
「そ、そうですよね。ははは」
 綬宝は自分にはとても無理なことだと思い、愛想笑いを浮かべていた。
「さて、何から学ぶかだが、宝国の法力はちと彩国のものとは違うぞ」
「はい、先生は占いが得意なんだとか」
「占いなど法力のうちには入らんわ! まあ……よい。毎週通って来るがいい、本来なら集中して学ばなければならんが、基礎が出来てから本格的な特訓だ」
 その日は挨拶程度で道場を後に帰宅した。
 綬宝は、この道場は入った記憶が無いが、小さい頃から宝国街にはよく出入りしていた。そして、宝国の人々はみな俺にやさしくしてくれたのを覚えている。街ゆく人が声をかけてくれる。ただ、幼い頃に父親から、この道場にはあまり近づくなと言われていたのだった。
 次の日、漂香姫に法力の道場に通うことを一応報告したのだが、「宝国の法力の稽古をするのはいいけど、それで効果があるのかしら」とそっけない返事だ。昔はもっとおしとやかだったんだけどなぁと懐かしんでみるが本人には言えない。何が飛んでくるか分らないからだ。
「でも、七日に一度というのは多いのじゃない?」
「まあ、習いごととなるとそれくらいかと……。基礎が出来たら特訓に入るとかで」
「特訓? 何日もいなくなるんじゃないでしょうね?」
「うーん。そうなるかも」
「私のすぐ近くで警護してくれるのは綬宝しかいないじゃない。他の大人達では入れる場所が限られてるのよ」
「そうなんですけど、親父が話をつけちゃったらしくて皇帝陛下の許可も貰ってるんですよ」
「なによ! 大人たちで勝手に話を進めて! 今度、お父様に文句を言ってやるわ」
 漂香姫にとっての同年代の遊び相手は綬宝一人で、あとはみな十歳以上年の上の大人ばかりだった。小さい頃から彼女の身近におり、そのままずっとこのような関係は続いている。
 代わりにということなのか、彼も宮廷で小さいころから勉強を教えてもらっていたので、知識としてはへたな文官や王族より高いレベルの教育を受けているのだが本人には面倒なことでしかなかった。
 兄は宮殿に努める親などが入る学校で勉強していたのだが、彼は漂香姫と机を並べて勉強し、時には九歳も年上の漂香姫の兄である備彩(びさい)殿 下と一緒に昔の人が書いた本や国家、軍略について習わされていた。いつか役に立つからと先生に言われるままに暗記させられたが、漂香姫はそんなの自分は教 わってないとふてくされたこともあった。本人も、現在の警護任務に役立っている気がしないので、良い思い出ではない。
「で、いつから特訓に入るのよ」
「まぁ、基礎ができてからって話なんで。いつになるやら解らんです」
「そう、じゃあいいわ」
 ニコニコしながらふふんと鼻を鳴らしてうれしそうだ。彼が上達せずにいる方が漂香姫にとっては遊び相手がいて都合がいいのだろう。
「で、あの件はどうなってるの?」
「何の件です?」
「もうっ! お忍びで街に行きたいって言ったじゃないの。その手筈は進んでるの?」
(忘れてた!)
 このおてんば姫様は自分で街の中を歩きたいと言い出していたのだった。
「自分が新しく習っている法力の修行に必要だとか言って大きな道具箱を持ってきてその中に入れば抜け出せると思いますよ」
「本当!」
 とっさについた言い訳にしては上手くいった。

「しばらくやっておるが、お前は本当に法力がさっぱりじゃの」
 角老師匠がため息をつくようにつぶやいた。
「何日も通っていてこれなんだから、俺には無理なんですよ」
 綬宝もこれで何回目かというくらいの角老の言葉を聞き、半ば諦めている。水晶玉とのにらめっこでも、集中力を使い疲れるのが嫌になっていた。
「おぬしは法力を使わなければ道場の者とも体術の稽古で遜色ないのだが、いかんせん法力が使えぬとあっては戦に出ても死に行くようなものじゃわい」
「前線で戦わなければ後方支援の役目くらいやれますかね?」
「綬楊殿の息子がそれでよいと思っておるのか! 別のやり方をしなければならんかのう」
 角老は考えながら別の部屋へと行ってしまった。
 やっと辛い時間から解放された道場からの帰り道、普段に比べ賑やかというか、みな忙しそうに何かの準備をしている。
「おばあさん。宝国街で何かあるんですか?」
「まあ、綬宝様。三日後に宝国のお祭りがあるんですよ」
「祭りかあ。そういえば昔はよく来てたっけ」
「ええ、うちの亭主の飴細工も買って行かれたでしょう」
「そうそう、立派な動物の飴を作ってくれたよね」
「宝国街のお祭りだから、彩国の人にはあまり関心がないですが、宝国人にとっては昔ながらの風習でおこなわれる重要な祭りなんですよ」
「じゃあ、みんな楽しみにしてるんだ」
「そうですよ。宮殿の警備にあったった日には、宝国人はみなしょぼくれちまうものです。多少は融通してくれますが、全員というわけにはいきませんからね」
「お祭りかあ。こりゃうまくいくかもしれないぞ」
 漂香姫のお忍びでの外出は、宝国の国民街の祭りの夜を狙って抜け出すことにした。
 元々お姫様の警備役という役目である綬宝にしてみれば、宮殿の警備兵が宝国人の時間や担当する門などを調べるのにそれほど苦労はしない。
 彩国人の祭り時に連れて行ったら、さすがに宮殿関係者も大勢いるだろうからお姫様とバレてしまう危険が高すぎる。彼としては、普段の普段よりも にぎやかで、警備も手薄になる可能性のあるこの祭りで勘弁してもらおうという算段である。昼間に比べ夜のほうが侍女たちの数も少なくなるので都合がいい。
 彼の通っている宝国の法力の師匠の道場はその小さな街ともいえる区画の一番奥にあるおかげで、通っているうちに顔見知りも増えていたことも幸いした。
 古着屋のおばあさんに知り合いの女の子が来るから服を貸してあげてほしいと頼んだら快く引き受けてくれ宝国人の服を着せて目立たなくするための手筈も整った。
「お疲れ様です。まだ、祭りにはいかれて無いのでしょう? これでも食べてください」
「このまんじゅうはすぐ売り切れちまうって評判の奴じゃないですか! 綬宝様に差し入れを貰うなんてもったいないです。ありがとうございます」
「では、自分は一度宮殿に入りますので、お勤め頑張ってください」
 綬宝は漂香のいる部屋に足早に急いだ。
「準備はいいですか?」
「ええ、大丈夫よ。侍女たちにも、もう寝るからと伝えておいたわ」
 漂香姫には武術の稽古着で待っていてもらい。手で押せる台車のついた箱の中に入った。小柄なので入るのは問題なかったので、蓋をした上から布や法力の修行で使う水晶を乗せ体裁をとりつくろい宮廷を抜け出せた。
「あー、これだけでも疲れた」
 途中宝国街に近づくと祭りの騒がしくも楽しい音楽が聞こえてくる。漂香姫が我慢できずにガタガタと暴れだしてしまった。
「もう出てもいい?」
「まだだめだ。おとなしくしてて!」
 箱の蓋を一部開け中に手を突っ込んで軽く叩いた。何やら柔らかい物に触れたようだが構わずゆすっていると箱が動かなくなった。どうやら落ち着いたようだ。最後にポンと叩いたところで、
「イタタ! (思いっきり噛みつかれた)」
「バカ」
 漂香姫の怒っているようなそうでもないような声が聞こえた。
 古着屋のおばあさんの家の裏について箱を開けると真っ赤な顔をして睨んでいる。何か言いたげな顔つきだ。構わずおばあさんに服を見立ててもら い、奥で宝国人の衣装に着替えさせた。おばあさんは、せっかくだから彼も服を脱げと言って何やら刺繍入りの立派な服に着替えさせられた。
 普段着ない服を着て漂香姫の機嫌も直ったので二人で出店や踊りなどやっている広場へ歩いて行った。途中、漂香姫が腕を組んでくるので離そうとしたらギュッと腕に抱きついて離そうとしない。
「小さいころは、こうやって一緒に手をつないで遊んだでしょ?」
 漂香姫はうれしそうに踊りを見ながら言った。小さい頃はよく一緒に遊んでいた。わざわざ木に生っている桃が欲しいと言って木に登らされたけれど 仲の良い兄妹のように過ごしていたし、小さな子供どうしだから泣かしたこともあったけれど、不思議と周りの大人には怒られなかった。
 漂香姫のお母様は小さい頃かわいがってもらったが、十年前に亡くなってしまっていた。以来、外出する機会は皇帝陛下の静養と領地の視察に同行するくらいになり、いっそうさみしさを募らせていったのだろう。
 漂香姫は、王族の住む場所に出入りできるもののさほど広いというわけではない。庭園はあるが、周りは塀で囲まれており制限があったため、人通りも珍しいのだろう、見るものすべてを楽しそうにしている漂香姫の姿があった。
「わー綺麗! これ欲しい」
 やはりお姫様だ。
 屋台とはいえ髪飾りも高いものに目が行く。
 上目遣いの視線を感じる。
「おじさんこれください」
「ありがとう。大切にするね!」
 今月の給料の半分が消えた。
 屋台のおじさんにお金を払っている間も鏡を見ながらうれしそうだ。役得だと思いつつ給料はあきらめることにした。祭りには色々な食べ物の屋台があり、飾り細工の飴を二人分買い舐めながら歩く。
 漂香姫は収穫を祝う踊りの輪に参加するなど上機嫌だ。そのなめらかで優雅な動きに綬宝は見とれていた。踊りには香りのように漂ってくるような品の良さがある。
「どうだった? 宮殿で舞いも習ってるから結構うまくできたと思うけど」
「上手だったよ。きれいな舞だった」
「ありがとう。まだ見てない露店もに行こうよ」
周りからは恋人どうしに見えるのだろう、街ゆく人にひやかされながら一通り楽しんだ。
 二人で踊りを眺めながらあるいていると、城の方角から時を知らせる鐘の音が響いた。
「もう、こんな時間だ。帰らないと警備兵も交代しちまう。宮殿に入るのに一苦労するぞ」
「ええー、嫌だ! もっといたいもん!」
「だめだよ! そうでなくても気分が悪いからだれも来るなと言って宮殿から抜け出しているんだから。また、機会を探して出てこよう」
「約束よ」
 すっかり小さい頃の二人に戻っている。今はお姫様と警護役ではないこの時間が、綬宝としても惜しい気持ちはする。しかし、お姫様がいないと宮殿 が騒ぎになる前に帰らなければならない。帰りも祭りの屋台でみつくろった差し入れを渡して宮殿に入ったどうやら漂香姫のことは気付かれていないみたいだ。
 二人で庭先に座り飴をなめながら話をした。すっかり夜も暗くなっている。 じゃあ明日と別れようとすると、手を放さない。
「まだ一緒にいようよ」
 と泣きそうな目でしがみついてくる。
「姫様。どこですか?」
 女官たちが漂香姫を探している声がするのでやっと離れた。
「絶対また連れて行ってね」
「ああ、約束するよ」
 漂香を呼ぶの声がもうすぐそこまで迫っている時、耳元で。
「そこに座って」
 腰かけると頬にキスされた。
「今日のお礼よ」
 どうやって帰ってきたかは覚えていない。
 布団の中で今日一日のことを思い出しなかなか寝付けない。
(明日からどう接すればいいんだ?)
 また、二人の関係がお姫様と警護役に元に戻ってしまうと思うと胸が苦しくなる思いだ。

「それぞれの想い」①

「何故そんな事もできないの! 簡単じゃない」
 女の子が青年から取り上げて怒りながら手に持った水晶玉が光っている。
(そんなこと言ったって才能ないんだからしょうがないでしょ)
 と、口には出せずに青年は心の中で思う。
 今彼が練習していたのは「法力」と呼ばれる力が強くなったり早く動けたりすることができる特殊能力のことだ。
「みんな少しは光るっていうのになんでさっぱりなのよ」
 女の子は不満げに青年に向かって言った。
 彼がやってもこれが光らない。つまり法力が無いということだ。
(才能ないなぁ俺)
 彼の家系は先祖代々軍の要職を務めているので幼いころから宮廷に出入りし、今向かい合っているお姫様の遊び相手などをしていた。
 十八歳になった去年の秋に、正式にお姫様の警備の職に就くことが出来たのだった。
 ほぼ毎日宮殿に出仕するが、今になっても警備とは名ばかりで、子供の頃のまま遊び相手になっているだけだった。
「綬宝(じゅほう)今度は武術の稽古よ」
 綬宝と呼ばれた青年はしぶしぶ木刀を構える。
 武術の稽古といっても一方的で、漂香(ほうか)姫の打ち込みを受け流すのがやっとだ。
 漂香姫は十六歳で体は彼の胸の下あたりに顔が来るくらいの小柄で一見華奢な体をしているが、法力によりスピードや力が増しているため太刀打ちできない。
 今は武術の稽古用のゆったりした服を着ているが、なかなかスタイルが良いのが分かる。
「どこ見てるのよ!」
「イテテ」
 揺れる胸などを見ていると痛い一撃をくらわされる。
 何で年下のお姫様に散々にやられてしまうのか、自分でも情けないが、腕力で勝てても、それを補う法力の力に差がありすぎて力負けしてしまうので、綬宝には受け流すのがやっとだ。
 二年前くらいまではまだ漂香姫も法力の力を上手く制御できてないから単純に力で相手ができたが、さすが皇族ともなると法力の潜在能力があるらしく成長が早い。どんどん差が開いてくしおてんばになっている。
「もう今日は終わり。かわすことはできても法力が全然上達しないじゃないの」
「自分にも何でこの職に就けたのか不思議です」
 お姫様の身辺の世話をする若い女官たちにはいい笑いものである。
 肩を落としながら帰っていく綬宝を宮殿内ですれ違う女官たちがクスクスと笑っている。
(ああつらいなぁ)
 宮殿を抜けて城門を通り、城の外にある家へと向かう。
「綬宝、お前もいま帰りか? 何をうつむいている。しっかり歩け」
 顔を見上げると、五歳年上の兄の綬朱(じゅしゅ)が馬に乗っていた。
 彼は近衛隊の小隊長で昇進の話もでており、宮殿のみならず城下の女性に人気がある。
 綬宝は、見た目は顔もそれなりで、立派な体つきの青年なのだが、女性にはあまり縁がない。
 「なんだ、兄さんか」
 見上げた視線を地面に落とし、力なく答える。
「なんだはないだろう。漂香姫とケンカでもしたのか?」
 綬朱は馬を綬宝の横につけると笑顔で聞いてきた。
「似たようなものかなぁ。棒で叩かれたし」
「武術の稽古か? 前はよく漂香姫を泣かしていたじゃないか」
「三年くらい前まではね。この頃、法力が強くなる一方でさ、お姫さまの警護役といっても守る方より弱いんじゃいい笑いものだよ」
「それでじょげてたのか? 今のお前は漂香姫のそばにいるだけでいいんだよ」
「本当にそばにいるだけで人生終わっちゃいそうだよ」
「そうすねるなって」
 家へと着くと、父はもう帰宅していて食事の用意ができていた。
 綬宝の父は綬楊(じゅよう)という名で一軍の司令官である。その身体には実践をくぐりぬけてきた多くの傷があり、家柄だけでなく武功で今の地位に昇った威厳が備わっている。
 家系の良さはあるものの、自分の能力で今の地位に就いた家族との実力の差を考えるだけで綬宝には劣等感が湧いてくるのだった。無口に夕食を食べていると父が話しかけてきた。
「綬宝、ちゃんと漂香様の警護はできているのか? 漂香様の遊び相手になっているだけだとのもっぱらの噂じゃないか」
(なんだ、知ってたのか)
 兄がとりなすように言う。
「父さん綬宝だって大丈夫さ。休みの日を使って法力の先生のところに通わせて修行すれば、それなりにはできるようになるよ」
 それなりにかよと言いたくなったが止めておいた。自分がむなしくなるばかりだ。
 ただでさえ毎日疲れ果てているのに、この上修行なんて通ったら体が持たない。
「綬宝は普通の法力じゃなくて違う才能があるはずよ。あなた、角老(かくろう)先生のところがいいんじゃないかしら? あの先生は人の動きが予測できたり、占いで有名な方ですもの」
「う、占い?」
 話がだんだん解らなくなってきた。城下の街には法力を指導することを専門としている私塾のようなところもあったが綬宝は通ったことはなかった し、警備の仕事も予測や占いで済めば楽なことはない。危険に対処するのに役立つだろう。しかし、元々法力の才能の無い彼に、都合よく身に付くはずはない。 面倒なことになったと不安がよぎる。父は考え込んでいる様子だった。
(駄目だと言ってくれ! 俺才能ないって)
「では今度の休みにでも訪ねて行け。わしから一筆書く」
 この上修行かと絶望感が綬宝を襲った。

2010年10月29日 (金)

『外伝・メグムとお鏡さま』あらすじ

 人々が狩猟や農業で生活していた昔、女の一行が通りかかるとひとりの男が倒れていた。

 御輿にのった女がその男を村に連れ帰り介抱する。男はメグムと言ったがそれ以上のことは思い出せなかった。

 村長が「怪我人を置いておくほど余裕はない」と言う中、「お鏡さま」と呼べれた女は「自分がもっと占いに精を出すし、この男の面倒をみる」と、懇願しメグムが村にいることを許される。

 メグムは回復し、狩猟や村々の争いでも活躍を見せる。

 メグムの器量を買った村長は自分の娘を妻にさせ後継者とする。

 お鏡さまは、心を痛めながらも村で重要な地位を得たメグムに「占いによる助言」で支え続ける。

 ある日、吐血し自分の寿命が近いと悟ったお鏡さまは、メグムにこの地で神社を建て自分を祀ってほしいと依頼する。

 お鏡さまは、「あなたやその子孫がこの地にいる限り、わたしはあなたや子孫を、この土地とともにを守り続けます」と言い残し光に包まれ亡くなる。

 一年後。神社が完成し儀式を行うと、天から一筋の光が降りてきて本尊の土偶の上に立った。

 村の人々には、小さな女の子に見えたが、メグムには「お鏡さまが降りてきた」とはっきり見えていた。

『外伝・人間の羅天』あらすじ

 今から千年以上は昔の時代、羅天は人間として旅をしていた。
 ある日、日輪天を祀る神社に出向いた際に、一つの旅の集団と出くわす。

 その中の身分が高そうな女に一目ぼれした羅天は、煙たがるのも気にせず旅の者たちが暮らす集落までついて行く。

 追い出されそうになるが、「戦いで恩は返す」とその集落にいついてしまい、一目ぼれした女にも会いに行くなど勝手気ままに過ごす。

 ある日、集落に強盗団が潜入するが、羅天の活躍で未然に害を防いだ。

 だが、周辺諸国からの従属を迫られていた集落は、戦闘が頻発し羅天の活躍で防ぐことが出来たが、いつしか「羅漢一族が守護する強国」の激突する地帯へと様相が変化していく。

 その中、人間・羅天は片目片腕を失いながらも奮戦し土地を守り続ける。

 羅天は、「この土地にいてはいずれ全滅する」と、集落の女子供を日輪天の神社に匿ってもらえるよう手紙を書き逃がす。

 女は「羅天の恩に報いることが出来ない。一緒に逃げよう」と泣くが、羅天はこの地に残り敵を引きつける道を選ぶ。

 いよいよ強国の草刈り場と化した集落で、羅天とそれに従った者たちは奮闘し、人々を逃がしていく。

 戦闘が混戦と化し、羅漢一族の者たちも見えると、羅天は、
「我が首にてこの地から引かれよ」
 と、自らの首をかき切る。

 それを見ていた羅漢一族は「このくらいで良しとしよう」「久しぶりに存分に闘った」として撤退。その他武神が手を貸していた軍隊を全滅させる。羅漢は「一刻、この地に平和をもたらそう」と非介入を宣言する。

 羅天の首は、その地に戻ってきた女や一族により祀られた。

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